コンサートや演劇の「千秋楽(せんしゅうらく)」ってどういう意味?
「千秋楽」という言葉をご存じですか?
演劇、ミュージカル、コンサートに関するニュースやSNSで見たことがあるのではないかと思いますが、そもそも
どのように読むかも不安な言葉ですよね。
読み方は「せんしゅうらく」です。
演者やスタッフにとって、ファンにとっても感慨深い特別なもののひとつが「千秋楽」です。
通なお客さんは千秋楽を狙って来場することもしばしば……。
今回は、そんな「千秋楽」を紹介します。
千秋楽(せんしゅうらく)の語源
演劇やミュージカル、コンサートでよく耳にする言葉が「千秋楽」です。
例えば宝塚歌劇団のSNSでもよく見かけます。
本日、宙組宝塚大劇場公演『天は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』の千秋楽を迎えます。千秋楽の模様は後日タカラヅカニュースで放送いたします。どうぞお楽しみに!
— 【公式】タカラヅカ・スカイ・ステージ (@skystage_info) April 23, 2018
このように、数ある公演のなかでも重要な公演という雰囲気が伝わってきます。
では、千秋楽とはどのような意味なのでしょうか?
千秋楽
[名]芝居・相撲などの興行の、最後の日。らく。
▶︎法令(ほうえ)などの最後に演奏された雅楽の曲名からという。
出典:北原保雄編 明鏡国語辞典 携帯版 2003 大修館書店
最近はさまざまな場所で聞きますが、もともとは演劇や相撲の最終日を表す言葉として使われており、日本の伝統的な音楽、雅楽の曲名が語源とされているそうです。
参照:雅楽講究会編『篳篥譜. 初之巻』昭和7年 国立国会図書館デジタルコレクション
いまでは、コンサートの最終日も千秋楽と呼んでいます。
略して「楽日(らくび)」や「楽ステ(らくすて)」と言ったりもします。
すべての公演の最終日であることから、俳優やアーティスト、お客さんにとっても重要なものとなっています。
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アイドルオタク、K-POPペン(ファン)にとっても千秋楽は重要です!
基本コンサートは全通(すべてのコンサートに通う方)と言うオタクの方からすると、もはや「千秋楽に行かないのはありえない」レベルだとか!?
ちょっと大げさかもしれませんが、千秋楽にこだわる理由はあるんです。
なぜなら、演目終了後のカーテンコールやコンサートのラストの挨拶がとくに盛り上がるからです。
さらに、特別なお知らせやサプライズが最後にされたりすることもあります。
だからこそ、千秋楽を選んで来場する方がたくさんいらっしゃるのです。
千秋楽にもいくつか種類があります!
千秋楽にもいくつか種類があります。
こんなふうに使い分ける方は通ですね!
前楽(まえらく)
千秋楽のひとつ前のことを言います。
「次で最後!」という、今までの公演を思い出して少しさみしい気持ちになってきつつ、気合いの入る公演ではないかと思います。
大千秋楽(おおせんしゅうらく)
千秋楽の中でもラスボスが大千秋楽です。
大楽(おおらく)と略すこともよくあります。
各地をまわるツアー公演の場合、まず各地で千秋楽があります。
ツアー公演すべてのスケジュールにおける、最後。
泣いても笑っても本当の最後が、大千秋楽です。
演者やスタッフからすると公演の区切りで、つらいこと楽しかったこと、各地のお客さんを思い出してカーテンコールでなんとも言えない感動が押し寄せてきていると思います。
ゲストの俳優(客演)・アーティストがいる公演や、公演ごとに座組みを組むプロデュース公演では公演が終わると、苦楽をともにした仲間とのおわかれにもなることもありさみしさを感じていることもあります。
お客さんからしても、「やりきった!」という顔でステージ上にいる俳優やアーティストを見ていると、自然と拍手も大きくなってしまうのではないでしょうか。
そんなときはカーテンコール後も拍手が鳴り止まずダブルコール、トリプルコールが起きたり、スタンディングオベーションが起こったりします。
「ありがとう」という気持ちで会場全体がつつまれる感動の瞬間です。
千秋楽後も実はバタバタ……?
感慨深い千秋楽の後はやはり打ち上げなどで盛り上がっているのでは?と思われるかもしれませんが、そうではなくまだまだ大忙しな場合があります。
- 打ち上げもそこそこに次の公演場所への移動が控えている、別のスケジュールがある。
- バラしがある。
- お客さんを送り出す準備や、ファンイベントがあることも。
タイトなツアースケジュールが組まれている、スケジュールのつまった俳優、アーティストの場合はすぐに移動しないといけないという方もいらっしゃいます。
若手のアーティストの場合も、ライブ後は深夜の車移動が待っているなんていう場合もあります。
若手の演劇公演やコンサートですとロビーでお客さんをお送りだす「客だし」やお客さんも参加できる小屋での打ち上げがあったり……、アイドルのコンサートではファンイベントがあること場合もあるとか。
スタッフにとっては公演場所から舞台・照明・音響・受付や楽屋の撤収作業、搬出をするバラしがほぼ待っています。
全国をツアーする人気劇団であっても、仕込み・バラし要員として俳優が活躍している場合もありますし、若手と呼ばれる劇団やアーティストは自分たちで全部やらないといけないのです。
「ゆっくり休んでからやるのでは?」と思われる方もいるかと思いますが、公演場所は次に利用する団体のためすぐに場所をあけないといけませんし、大きなセットや機材は人間より先に次の目的地へ送り出さないといけないことが多いのです。
コンサートの終演後に明るくなると、屈強なスタッフが続々とハケから出てきて搬出している姿をよく見ますよね。
手際よくステージがバラされていくのに唖然としつつも、プロの仕事に関心します。
余談ですが、スタッフさんがセトリ(セットリスト)をくれるとうれしいですよね、お忙しいのありがたい!
このように、ステージを作る人たちは感動の千秋楽のカーテンコールが終わったら、たとえ満身創痍でボロボロであっても気持ちを切り替えてさらにバタバタと走り回っていることがあります。
千秋楽以外の日は?
最終日を千秋楽と言うように、他にも特別な名称がある日があります。
初日
これはそのままで、公演の1番最初の日です。
お客さんにとっては、待ちに待った日です。
俳優やアーティストにとっても初日は無事に終わると、とてもホッとします。
初日乾杯、初日打ち上げをすることもあります。
中日(なかび)
公演のまんなかの日のことを言います。
中日ともなってくるとこなれてきて、リラックスしてのびのびとした姿や、新しい試みが見られるかもしれません。
同じ演目、コンサートであっても、生ものです。
一定のクオリティと内容はもちろん大切ですが、生ものだからこその楽しみがあるのも確かなんです。
おわりに
今回は千秋楽について紹介しました。
ステージを作る側にとっても、観る側にとっても、大切な日が千秋楽です。
すべての最後だからこその盛り上がりがあるスペシャルイベントといえると思います。
狙って千秋楽に足を運んでみると、特別な思い出ができるかもしれません!
ぜひ、お試しください。
ライタープロフィール
ライター
まよ
メタルヘッズでK-POPペンで、アートコレクターになりたい、おっとりした平成元年女子。
映画も好き。
じつは演劇の中の人。
普段は無の表情で、静かに着席して音楽を聴いているのでメタルヘッズだと思われない。
かつて、おこづかいでとっておきの新盤を買って帰って、歌詞カード片手に音楽しか聴かない時間を楽しんでいたのに、最近しなくなったので、そういう時間を取り戻したい今日この頃。